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ギャラリー1

2025.04.18 UP

ギャラリー1にて石田尚志個展「紫から始まる絵」を開催いたします。

石田尚志「紫から始まる絵
会期:2025 年 5 月 11 日(日)- 6 月 22 日(日)
会場:タカ・イシイギャラリー前橋
オープニング・レセプション:2025年5月11日(日)13:30 – 17:30


この度、タカ・イシイギャラリーは、石田尚志個展「紫から始まる絵」を開催いたします。同作家にとってタカ・イシイギャラリー前橋で初の個展となる本展は、アーツ前橋を会場とする、大規模な個展「絵と窓の間」(2025年4月19日―6月22日)と平行して開催され、最新作とともに同地を訪れたことで描き出された作品群が初公開されます。







この冬に描きはじめていていたのは、紫の四角形と、そこから始まる小さな渦や上昇する何かだった。紫の矩形から始まり、その紫の矩形に戻る。その間にさまざまな色が矩形の外に現れていく。自然に生まれたこの一つのルールを繰り返すなかで、色に染まった部屋を渡り歩くポーの小説「赤死病の仮面」を思い出していた。ポーの多くの作品はフレームと視線の混乱の風景だから自分をいつも驚愕させる。この短い小説にある城も虹を閉じ込めた暗箱のようであり、外への渇望と同時に、すでに外の光を全て内包してもいる。ふと、自分のこの紫の四角形は、その最初の部屋であり窓であり、そして、最後の部屋への扉にならなければならないと思った。ポーは「構成の論理」で、「大烏」を最後から書き始めたと語っているが、終わりへすすむことと、終わりから始まっていることが同時に起きているような作品とはどういうことだろう。ある画家は、真っ白なキャンバスの最初の状態と同じ領域のような絵を描きたいと言っていたが、その不可能性が絵画のもっとも大きな原理だろう。少なくとも、自分はその少し手前で、紫色の四角形を描いていたようだ。

石田尚志




萩原朔太郎の生地である前橋での作品制作と発表に向けて、石田は「絵」と「詩」の間にあるものについて熟考を重ねたといいます。ポーや、ポーを敬愛していた朔太郎に思いを巡らせながら描かれた本展の作品群は、色彩の変遷を追いながら、絵画における「始まり」と「終わり」に新たなアプローチを試みたものです。両者の作品において、色彩は象徴的かつ心理的効果を伴い、現実と幻想の境界が曖昧になるように用いられています。中でも青・紫・赤・黒といった色は、夢幻や孤独といったテーマと深く結びつきながら、詩的で幻想的な作品空間への道標となっています。



これまでも描画行為における時間の問題を探求してきた石田は、リュミエール兄弟の『壁の取り壊し』について言及しながら、ドローイング・アニメーションの技法に逆回転の手法を取り入れ、始まりと終わりが一致する作品を制作してきました。しかし、映像において可能な「時間の反転」が、絵画では成立し得ないことから、本展では、最初に描かれた場所へと最後に戻る循環構造に着目し、新たな試みが行われています。また、これまで青を基調とした作品が多かった石田にとって、紫というあらたな色を出発点とし、そこから様々な色の展開を試みることは、もうひとつの挑戦でもありました。ポーや朔太郎の詩にも見られる色彩の描写と呼応するかのように、紫の四角形は、色と時間の層をまといながら、観る者をイメージの深奥へと誘うことでしょう。








石田尚志は1972年東京生まれの画家/映像作家。多摩美術大学教授。線を一コマずつ描いては撮影するドローイング・アニメーションという手法を用いて、空間のなかに増殖する線や移動する点といった運動性を介入させ、空間の質をさまざまに変容させるインスタレーションを発表している。近年の主な展覧会として、「絵と窓の間」神奈川県立近代美術館 葉山(2024年)、「石田尚志展」沖縄県立博物館・美術館(2020年)、「弧上の光」国際芸術センター青森(2019年)、シャルジャ・ビエンナーレ13「Tamawuj」(2017年)、あいちトリエンナーレ(2016年)、茨城県北芸術祭(2016年)、「石田尚志 渦まく光  Billowing Light: ISHIDA Takashi」横浜美術館/沖縄県立博物館・美術館(2015年)、「ダブル・ヴィジョン―日本現代美術展」モスクワ市近代美術館/ハイファ美術館群(2012年)、「MOTコレクション:サイレント・ナレーター それぞれのものがたり [特集展示] 石田尚志」東京都現代美術館(2011年)、「アーティスト・ファイル2010-現代の作家たち」国立新美術館(東京、2010年)、Mediations Biennale「Beyond Mediations」(ポズナン、2010年)など。2025年、第75回芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。2007年五島記念文化賞美術新人賞受賞。1999年「部屋/形態」が「イメージフォーラム・フェスティバル 1999」で特選を受賞。




タカ・イシイギャラリー前橋

展覧会担当:岡本夏佳 プレス担当:小沼朋暉 (press@takaishiigallery.com)

Seiya Nakamura 2.24 Inc. 田邉友里恵 (yurie@seiyanakamura224.com)

〒371-0022群馬県前橋市千代田町5-9-1

tel:+81(0)27 289 3521

fax:+81(0)27 289 5560

e-mail:maebashi@takaishiigallery.com

website:www.takaishiigallery.com

営業時間:11:00–19:00

定休日:月・火・祝祭日

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